みことばを心に(9)


掲載日:2020.03.22

みことばを心に(9)

休校により毎日の礼拝ができません。そこで本校WEBサイトに礼拝メッセージを送ります。
これまで本校の礼拝にいらして下さった牧師先生のお話もあります。みことばを心に留めて一日を始めましょう。

「隣人愛を思い起こす」

(新約聖書マタイによる福音書22章39節)
日本基督教団 桜美林教会牧師 木村 智次

関東学院六浦中高のみなさん、はじめまして。東京の町田にあります桜美林教会で牧師をしている木村と申します。

新型コロナウイルスの流行という、思わぬ事態が発生しましたが、中高生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。学校が休みとなって今までのように友人と会えず、寂しさやつまらなさを感じたり、中には楽しみにしていたイベント等が中止になってしまい残念な思いを抱えている方もいらっしゃると思います。

人によって様々な思いを抱えておられますが、今の状況下で最もつらい思いをしているのはどなたなのかを第一に私たちは考えたいと願っています。

最もつらい思いをしているのは、新型コロナウイルスに感染し、闘病されている方々であることは言うまでもありません。そして、最前線で治療にあたっている医療関係者の方々も、大変な思いをされています。

ウイルスは目に見えないものですから、それが人の不安感を煽り、咳払い一つされただけで大きなトラブルになる事態も発生しています。経験したことがない出来事に遭遇すると、人間は誰もが他者を気遣う心の余裕を失い、自己中心的な思いに支配されてしまうものです。先ほど触れた医療関係者の方々に関して言えば、新型肺炎の患者さんのために一生懸命、診療に従事したのに、自己中心な思いに支配された周囲の人々からばい菌呼ばわりされるなど、差別的扱いを受けたという悲しい報告すらあります。

新型コロナウイルスの蔓延で最も恐ろしいのは、人間が他者を思いやる心を失い、互いに疑心暗鬼に陥り、誰もが自己中心に振る舞うようになることです。だからこそ私たちは、このような社会状況の中で、聖書の大切な教えである隣人愛を改めて思い起こしたいと願っています。そして、最もつらい思いをしている方々、最も苦しんでいる方々は誰なのかを考えられる心をご一緒に育んでまいりたいと願ってやみません。

今のままでは、新学期も落ち着いてスタートすることはできないかもしれません。しかし、皆さんが隣人愛の教えを忘れずに思い起こしていく限り、どのような状況になっても、お互いのことを思いやることができる、暖かい雰囲気に満たされた学校生活を始められると私は信じています。