校長のつぶやき(39)ますます世界のフラット化が進む中で

掲載日:2020.02.07

「うちの子にも一年間、留学をさせたいと思っています。でも、なぜ若いうちに外国を経験させなさい、見せなさい…なのでしょう?もう少し分別が出てきて、留学の目的がはっきりしてからの方がいいと思うんですが…。大学では遅すぎますか?」

留学に限ったことではなく海外研修を勧めることについて、在校生の保護者懇談会や学校説明会等でいただくことの多い質問です。もちろん、大学で遅すぎるなどとは言いません。研修や留学の意味づけによります。渡航の意味です。違いを深く感じること、それまでの自分の中の経験や知識との格闘がインパクトになります。ただ、静かで強烈なインパクトとなるのは幼いうちです。では、なぜ、何のための、どんなインパクトなのか。


左:カナダ(カルガリー)での研修
右:アラスカ研修

今日はその質問にお答えします。
六浦が若いうちに外国を経験することを勧めるのは、まだ、人生の道やその道に進むための準備が具体的に進まないうちに、言い換えれば人生の指向性が定まらないうちに、つまり、多様な可能性を自分の未来の中に感じるうちに、「それ」を経験することが大事だからです。

では「それ」とは? 普段の生活とは全く違った風景、光、風、雨、食べ物、人、音、匂い…そして言葉。見えないけれどもそこに感じる壁。でも、その壁さえ越えればきっと開かれる、と思う全く新しい世界。普段の生活の次元とは違う別次元に広がる人生の可能性です。そして、若い方がその可能性がより大きい。大人になればたいていは、そうした経験も自分の現実とは無縁で別次元のお話でしかなくなります。

左:台湾研修
右:カンボジア サービス・ラーニング研修

お子さんは、日本を越えて、いや、日本と外国との行き来が今よりもっと普通になる時代に生きるはずです。「グローバル化」が死語になる時代に暮らすはずです。活躍する地域を限ってはいけません。活躍できるエリアを狭めてはいけません。と言っても、日本国内での生活が狭くてダメだ、ということではありません。

日本に留学している海外からの学生は増えています。そして、留学生の国内就職が年々増加しています。母国と日本で活躍できる「中核外国人材」とよばれる人たちです。2019年5月末に入国管理法が改正されて、留学での在留資格(ビザ)から就労での在留資格に切り換える際の条件が緩和されました。
緩和される前の2018年のデータ(法務省出入国在留管理庁2019年10月23日)を見ます。留学を経て日本国内の企業等への就職を目指した外国人留学生は30,924人だそうです。その中で就労ビザが認められた人は25,942人でしたが、これは前年より3,523人多く、率では前年比で15.7%増です。毎年増えています。おそらく、2019年はもっと増えているのではないでしょうか。周囲を見ても何となく増えているなぁとは感じますが、徐々に増えているのでまだそんなに大きな社会の変化とは感じません。
国別では上位から1位 中国、2位 ベトナム、3位 ネパール、4位 韓国、5位 台湾で、アジア諸国が95.3%。最終学歴は大学卒と大学院卒が全体の66.4%を占めていて、専修学校卒よりも多いという状況。この現実はどんな未来像に結び付いてゆくのでしょう。

日本の企業は、活動拠点をどんどん海外に増やしています。日本に留学した学生が母国へ帰って日本の関連企業に勤めるのは言うまでもないでしょう…。一方で日本国内は、国際留学生から中核外国人材として活躍する人が増えています。

日本の学生の大半は日本国内での就職を強く志望しています。住み慣れた国、暮らし慣れた日本で働きたい。当然でしょう。安全できれいで衛生的で…誇れる国。しかし、AIの活用もますます進み、就労環境が経験しなかったレベルで変わります。ますます世界のフラット化が進む中では、生きる世界を別次元にも広げるということが今以上に重要になるでしょう。

別次元への抵抗感がもっと低くていいのではないでしょうか。抵抗感の低さ、その気持です!そして可能性の大きさです。その気持と可能性は、人生の指向性が定まらない若いうちが確かで大きいでしょう。