校長のつぶやき(30)多文化環境で育つたくましさ


掲載日:2019.06.26

関西にいる知人からメールをもらいました。以前は高校の先生をしていましたが、今はNPOで日本と海外を行き来する仕事です。追伸がありました。「最近、『校長のつぶやき』が更新されていませんが」。たしかに…。新年度の慌ただしさの中、と言っても既にあっという間に3か月。お休み状態になっていました。つぶやき、場を借ります。

5月24日~30日、シンガポール、マレーシアに単独で出張に行きました。新しい研修先、長期留学先、交流先の策定が目的でした。
ASEANをもっともっと現実に引き寄せて、教育の場として、機会として注目すべきだと感じて帰ってきました。それは、日本の企業の経済活動が東南アジアでますます盛んになっているから、ということからではありません。特にマレーシアでは、日本を含めた世界の「舞台」で人生の将来を考える生徒が増えているという実感…。発展する若い社会のエネルギーを感じたからです。

毎回色々と感じますが、今回特に強く感じたことは、日本からの留学生が次第に増えているせいなのか…、マレーシアの子どもたちは日本や日本の若い世代にあこがれを抱きつつも、一方で自分たちには、大きなアドバンテージがあるということに気付き始めているのではないか、ということです。生まれたときから多文化共生の中で身につけてきた適応力や複数の言語、異文化間コミュニケーションの能力の高さ。そのアドバンテージに客観的に気づき、静かに自信を感じはじめているということです。

街には最新のインフラが急速に導入され、世界の企業が高層ビルで並び、世界の製品・商品が大きなショッピング・モールに溢れる。物価も次第に上昇し、生活水準が上がる。世界から人が訪れ、国内の多様化、国際化がさらに進む。子どもたちはこの環境の中で自然に育ち、静かに自負を持ち始めています。自然な生活環境です。それを感じて帰ってきました。教育には社会背景も重要な環境です。……追伸への返信とさせていただきます。