新聞を活用した学び


掲載日:2022.05.10

本校はNIE(Newspaper In Education)の推進指定校となっています。図書館を活用し、さまざまな学年・教科で新聞を使った取り組みを行っています。今回は、高校2年生と3年生の政治・経済での授業における取り組みを紹介します。

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高校2年生では、「地方紙で地域特有の社会的課題を探そう!」をテーマに、紙の新聞に触れる機会をもちました。新聞博物館より新博キットの1つとして全国の地方紙を頂き、その地方紙を用いて、8つのグループに分かれ、各地方の特有の社会的課題がわかる記事を探しました。8つのグループは、北海道グループ、東北グループ、関東グループ、中部グループ、北陸グループ、近畿グループ、中国・四国グループ、九州グループでした。グループの中でも、1人ひとり手に取る新聞は異なります。例えば北海道グループでは、「室蘭民報」や「釧路新聞」など他多数ありました。新聞を読み、地域特有の記事が見つかった後は、グループで1枚の紙に記事を貼っていきます。全員の記事が貼り終わると、グループ内で記事の説明をし合って共有します。グループごとに地域が抱える課題をまとめ、最後は全員に発表・共有をしました。

休み時間にも新聞を読む生徒、他グループの新聞に興味を示す生徒、さまざまな地方の新聞を持ち帰る生徒など、紙の新聞に親しむ様子がみられました。紙の新聞の面白さや新聞記事を読む大切さに気づき、今後の学習活動に活かしてくれたらと思います。生徒たちの感想(一部)を掲載します。

・世界の出来事が身近に感じられた。新聞一枚でここまで視野が広がるなら自分から新聞を読むようにしたい。
・地方の新聞記事を見てみて、日経新聞や読売新聞などの全国紙にはない、市議会や消防署などの異動について等のページが2~3ページ程掲載されていたので、違いを感じられた。また、地元のスポーツ選手や地元の高校が活躍した記事も掲載されることがわかった。
・授業の前は新聞に触れることがなく無関心でしたが、読んでみると読みやすく、未知だったことも開くだけで目に入ってきて、新聞に対する考え方が変わりました。
・自分の中の情報量が少ないことを、新聞を読んで実感した。
・地方新聞だからといって全部地方関係の記事が書いてあるわけではなかった。地域が違うとテレビの内容や放送時間も異なり、私の観ているドラマが九州地方では違う時間帯だった。時差もないのに時差があるみたいで不思議な気分だった。
・他のグループのことも聞けてよかった。

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高校3年生では、「全国紙で支社のちがいを探ろう!」をテーマに、紙の新聞の全体像をつかむ機会をもちました。こちらも、新聞博物館より取り寄せた新博キットを用いて、朝日新聞・毎日新聞・読売新聞・日本経済新聞の、東京本社・大阪本社・西部本社の紙面のちがいを探りました。生徒は朝日新聞グループ、毎日新聞グループ、読売新聞グループ、日本経済新聞グループの4つに分かれ、東京本社・大阪本社・西部本社(支社)の紙面のちがいを表に示しました。
ちがいを見つける観点は、生徒自身で決めます。広告の内容や天気予想の記載順、一面のトップ記事の配置、カラー写真が掲載されているページの数、感染者の数を伝える記事の有無など観点は様々でした。3つの本社がそれぞれ違う場合もあれば、「大阪本社だけ異なる記事」ということもありました。全国紙を本社ごとに読み比べすることは、普段なかなかできることではありません。全国の新聞が集まる新聞博物館から頂いたからこそ読み比べをすることができたことや、新聞データベースの存在も生徒はこの授業で知ることができました。できあがった表は、本校の生徒の「教材」として活用したいと思います。

この授業では、開始時と終了時に「紙の新聞と自分との距離」を数字に表しました。紙の新聞との距離を感じる人は、「5(Max)」で、距離が近いと感じる人は「0(Min)」とし、「5」~「0」の間の数字をメモしました。開始時は「5(紙の新聞とかなり距離があると感じている)」と書いた人も、終了時には「3.5」だったり「1」と回答した人がほとんどでした。紙の新聞との距離が縮まってよい機会となりました。