生物部 マリンチャレンジプログラム関東大会で優秀賞受賞


掲載日:2021.09.25

8月18日にリモートで行われた、「マリンチャレンジプログラム関東大会」で、本校生物部は「ボラはなぜ跳ねるのか~平潟湾における溶存酸素量との関係~」という研究発表で優秀賞を受賞し、3月に行われる全国大会に駒を進めることができました。

このマリンチャレンジプログラムは、中・高生の海に関する研究をサポートし、研究発表の場を提供する企画です。日本財団の「海と日本PROJECT」の一環として、(株)リバネスが運営しています。まず2月に研究内容を申請し、全国で40校が選ばれます。4月に認定式(リモート開催)があり、補助金と、8月の地方大会に出場するまで4回の指導(リモート)が受けられます。そして、地方大会で優秀賞となった15校が新たな補助金と指導を受け、3月の全国大会まで研究を続けます。口頭発表はプロジェクターを用いて7分以内、質疑応答5分で行われました。専門家5人による審査は次の6項目です。

1.課題意識があるか
2.研究へのパッションを感じるか
3.仮説の立て方が論理的で、独自の視点があるか
4.適切な検証ができているか
5.論理的な考察と次へ向けての計画があるか
6..研究成果からつながる海の新たな未来を表現できているか

審査の結果、最も「科学技術の発展と地球貢献を実現する」と考えられる研究、最も海の未来を感じさせる研究が選ばれます。(マリンチャレンジプログラム2021全地区研究概要集より抜粋)

審査員の方による講評

本校は2018年に2チーム、2019年に1チームが関東大会に出場しましたが、全国大会の出場権を得たのは初めてです。今回の研究テーマは2019年度の「ボラのジャンプ 打倒寄生虫説」の研究を基に、新たな仮説を立てて臨みました。5年生4人が中心となって発表しましたが、すべての部員が調査を行い、データを集めました。関東大会当日も別室で先輩の発表を応援していました。また、2019年度の発表チームで現在大学1年生のOBが数名、夏休み中何度も来校し、発表の指導をしてくれました(遠く北海道や静岡在住のOBも!)。今回の優秀賞は、在校生、卒業生、多大なご協力を頂いた保護者の皆様のお蔭です。ありがとうございました。
3月の全国大会を目指して研究を続けていきますが、コロナ禍で2学期はまだ部活動ができていません。寒くなるとボラは跳ねなくなっていくので気が気でないです。これからは補助金で水中ドローンを購入し、海中のボラの行動を観察し、新たな発見をしたいと考えています。

以下は本校の研究概要です。

先行研究で、「ボラは溶存酸素量が低下すると跳ねる」というものがあるが、2019年度の研究では溶存酸素量と跳ねる回数に関係は見られなかった。しかし調査を行う平潟湾は入り口を野島でほとんどふさがれている閉鎖海域であり、4本もの河川が流入していて波がほとんど立たない。そのため、私たちは次のような仮説を立てた。「平潟湾で海水の上に川からの淡水が覆いかぶさるような二層構造となる時間があり、空気と接していない海水は溶存酸素量が低下する。泥底で餌をとるボラは海水層にいると考えられるので、酸素が欠乏して跳ねる。」
2019年度の研究で「ボラには①高くジャンプし全身が海面から出る、②高くバタバタと震えながらジャンプし全身が海面から出る、③頭だけ海面から出る、の3通りの跳ね方があるので、ボラが跳ねる理由は一つではない」ということを見つけた。そこで、今回は跳ね方が似ている①と②を全身ジャンプとしてまとめて数え、➂の頭だけ出すものと分けた。 結果、塩分は底層で高く、海水が底層に淡水が表層に広がっていることが分かった。溶存酸素量は表層と底層でくっきりと分かれることはなかったが底層の方が低くかった。底層の溶存酸素量と全身ジャンプの間に相関関係は見られなかったが、頭だけ出す行動は溶存酸素量が低いときに多くみられた。従って、頭だけ出すのは酸素を補うための行動であり、全身ジャンプは他に理由があると考えられる。全身ジャンプはボラが興奮状態にあるように見えるので、ボラの幼魚を飼育し、どのようなときに興奮するか調べたところ、光・振動などに反応することがわかった。
今後は、ボラの喉の奥にあるという「空気をためる器官 空洞」を確認することと、満潮時のデータが足りないのでそれを補う調査を行う。