受験生の皆さんへ/to Student

年頭挨拶

 
 

 新しい年を迎え皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
 現在の日本は、政治・教育など様々な面で多くの課題を抱え、まさに混迷の中にあるといってもおかしくない状況です。とくに2011年3月11日の東日本大震災以後は、今まで築き上げてきた日本人の生活文化・精神文化が根底から覆され、改めて「人たるとは何か」が問われています。
 絵本「いのちより大切なもの」(星野富弘、いのちのことば社)のなかにその答が見えてきます。星野富弘さんは中学校の体育の先生でしたが、指導中に頸椎を損傷する事故にあい首から下の運動機能を失いました。失意の中にあった星野さんは、キリストの出会いを通して、唯一動かすことができる口に筆を加えて絵を描き、それに詩を書き添えました。その作品は多くの人々に感動と生きる喜びを与えています。

   いのちより大切なもの
    いのちが一番大切だと
    思っていたころ
    生きるのが
    苦しかった

    いのちより
    大切なものが
    あると知った日
    生きているのが
    嬉しかった

 この詩は1986年に書かれたものです。「いのちより大切なものとは何ですか?」、2011年3月11日の東日本大震災以降、この質問をする人がいなくなったと彼は言います。あまりにも多くの方々がこの震災で亡くなったからです。もちろん、いのちより大切なものはありません。いのちはかけがえのない大切なものです。しかし津波が迫る中、水門を閉めるために津波に向かっって走って行った人、人の波に逆らうようにして「津波が来るぞ」と知らせ回った人がいました。その人たちは皆、自分の命より大切なものに向かっていった人であると星野さんは言うのです。
 人として自分の命を他者のためにさし出すその行為は、私どもが掲げる校訓「人になれ 奉仕せよ」につながります。キリストは「わたしは人々から仕えてもらうためではなく、彼らに仕えるために来たのであり、また多くの人々の身代わりとして自分のいのちを投げ出すために来たのである」と言っています。星野さんが言う「いのちより大切なもの」が示しているのもまったくそれと同じであると思います。
 新しい年を迎えました。今年も私どもの進むべき道に向かって皆さんと共に精一杯生きてまいりたいと思います。本年もよろしくお願いいたします。


2013年1月1日
関東学院六浦中学校・高等学校
校長 河合輝一郎