受験生の皆さんへ/to Student

東日本大震災から5年を経て~2016.03.11~


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 余震の犠牲者を含めて死者・行方不明者が1万9000人。あの東日本大震災から5年が経ちました。復興に関する報道をみると、道路や交通、施設などのインフラ面の復興が進んできたが避難先の仮設住宅に住む人々はまだ10万人近くに及ぶ……とありました。
 地域固有の状況や避難家庭の様々な事情があいまって、復興地域での生活の成立や人々の帰郷それ自体にも難しい課題が多いことが伝わってきます。特に放射能の影響を受けている地域を思うと、時間の経過とともに逆説的に、果たして復興とは何なのか…と考えさせられることが多くなりました。居住を制限されている人々、避難先で生活を送る人々が、ここ金沢区の人口の約半分になると聞けば、あらためて、自然災害の傷跡だけではない、いつまでも治らない人災の「生傷」を考えずにはいられません。
 昨年のこの日のメッセージでは、家庭の経済的困窮や家族の崩壊の現状に目を留めました。特に女子に厳しい現実を見ました。男女雇用機会均等法はあっても女性に適さない仕事も多いこと。高校卒業後、経済的に進路を諦めなければならないだけではなく、働くこともできない現実はまだまだあります。
 そして、5年を経た今、ますます深刻に際立ってきているのは人災の問題です。まさにこれからも続く生傷です。大切な学童期や中高時代を5年という失われた時間に埋められてしまった子どもたち。もがいてもどうにもならない状況の中でかけがえのない時を失うように過ごした子どもたちを思うと、取り返しのつかない人災への悲しみを感じます。それは、多感な年頃に、日常の中で様々に自分の可能性を見出す年頃に、胸いっぱいの夢に向かってのびのびと呼吸する環境を文字通り失った5年間なのです。
 恵まれた日本ではありえないはずだった境遇を余儀なく与えられた子どもたちには、心から新しい春の到来を願い、これからの人生に幸せを祈ります。

 関東学院六浦中高は、震災以来、東北への支援のボランティア活動を続けてきました。今年も3月24日から2泊3日で第14回目の活動に出かけます。これまで参加した生徒たちの心の深くに刻まれてきたことの一つは、「隣人を自分ように愛する」ことの根源的な難しさでした。自分のように愛すること。難しいけれども、これを諦めてはいけないことを、そして、開き直ってもいけないことを強く認識してきました。
 震災からの復興に何ができるかということを考えるのと同時に、福島の課題を真摯に考えなければなりません。自分のことのように、何をしてもらいたいかを考えること、そこで裏を返して、未来に向け自分たちは何をすべきか、何ができるかを考えることが務めだと思っています。

2016年3月11日
関東学院六浦中学校・高等学校
校長 黒畑 勝男