保護者の方々へ/to Parents

第64回 卒業式

3月1日(火)、第64回卒業式が本校礼拝堂にて挙行されました。この日は卒業式にふさわしく爽やかに晴れ渡りました。登校した時の生徒たちからもこの天気のように晴れ渡る笑顔でした。

当日の様子は、KGMブログの記事をご覧ください。




関東学院六浦高等学校 第64回卒業式
 卒業生入場
 讃美歌 234A「神の国」
 聖書朗読 祈祷  伊藤多香子 宗教主任
 卒業証書授与
 式辞 黒畑勝男 校長
  ※式辞全文を、ページ最下部に掲載しています
 讃美歌 439「はるかなる 望みを胸に」
 告辞 理事長 増田 日出雄
 祝辞 六葉会会長 島根正隆
 送辞 在校生代表
 答辞 卒業生代表
 卒業記念品贈呈 卒業生代表
 校歌
 頌栄541番 宗教主任による祝祷
 卒業生退場

- 式辞全文 
皆さんは、今日この時を含めて、関東学院六浦高等学校の課程を全て修めました。卒業と新たなる出発、おめでとうございます。

入学した時のことを懐かしく思い出していることでしょう。そうです。この礼拝堂で、今は小さくなったと感じるその椅子に座って、関東学院六浦の日々を始めた日。

振り返れば、瞬く間に過ぎていった時間。嬉しいことも、辛いことも、悲しいこともたくさんありました。この学び舎で過ごした日々は、思春期から大人への成長の一つ一つの大切な積み重ねでした。

卒業にあたり、関東学院六浦高等学校として皆さんに伝えたいことは、毎日のように聞かされてきた「自分を愛するように隣人を愛せよ」を、終生深く心に留め、「人になれ 奉仕せよ」の言葉を思い、心を高く歩んで行ってほしいということです。

初代学院長、坂田祐先生は、第一回卒業式でこのように述べています。
「人になれ 奉仕せよ。人になること、すなわち人格を完成することは、大変難しいことです。しかし、実行や実現が極めて難しくても、その理想に向って進んでいくこと、たゆまず努力をすること自体に価値があります。私は、皆さんに、この理想によって努力するようにと勧めてきました。皆さんは全生涯を通して、理想の実現に努力すべきです。この世の仕事に失敗しもよい。皆さんが、自分の人生観の基礎をしっかり確立して、価値ある生涯を送ることができたなら、それは真の、本当の成功です。」
初代学院長坂田祐先生の言葉は、関東学院六浦中学校・高等学校の教育の中に、建学の精神として堅く、変わらず、貫かれてきているものです。坂田祐先生は苦学をし、37歳で教育の道に就かれ、キリストにおいて堅い志を持ち、41歳で初代学院長として中学関東学院の開学に尽力されました。しかし、開学して間もなく関東大震災を経験し校舎は倒壊します。校舎火災もありました。社会的には、戦時体制の中での教育の自由を失ってしまうかもしれない厳しい環境でもありました。

本学院の歴史を主体的に眺める時、生徒たちが多くの困難を抱えたことを感じます。しかし、今一方で、皆さんにもまた同じように、社会の激変とその怒涛の気配の中で、未知の小さくはない困難があることを感じざるを得ません。

イギリスのオックスフォード大学で人工知能の研究をしているマイケル・オズボーン氏が2013年に『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文を発表し、世界中を揺るがしました。日本でも様々な知識人によって読み解かれ、「消える職業」、「なくなる仕事」という話題となっています。日本のロボット市場は、今は9千億円程度だそうですが、20年後には10兆円にまで達すると言われています。社会構造は大きく変化するに違いありません。

それに先立って2011年。アメリカのデューク大学のキャシー・デビッドソン氏は、「アメリカでは、2011年に小学校に入学した子どもたちの大学卒業時には、その65%が今は存在していない職業に就くだろう」と予測しました。これは、今や世界中でささやかれるようになっています。

これらは、皆さんが本校で聴く最後のメッセージとして私が伝えたいことの背景です。時代の変化は社会構造の変化として益々速くなり、これまでの社会の変わり方からは予想できない速度と様相で変わってゆくということ、と、その中で皆さんは努力し、邁進していかなければならないということです。

かしその中で、決して忘れてはいけないことは、どんな努力も「自分を愛するように隣人を愛せよ」を中心に据えなければ、その努力は価値ある努力にはならない、ということです。

社会の変化を眺めてみます。社会の営みを変えたYahoo! Japanの登場は、ちょうど20年前の1996年です。1997年には楽天が生まれました。大きな社会構造の変化となりました。横浜では馴染みのDeNAは1999年に誕生しています。この20年間、一方では製造業界の変貌や衰退が著しく、大きく日本の社会の構造が変わってきています。

皆さんはいずれ自立します。その時、「この会社に入ったら、将来は安泰、大丈夫」などと思われる企業や業界が、10年後、20年後にどうなっているだろうか、という疑問を持ち、自らの力を備えることが大事になります。20年前には殆ど持たなかった疑問です。

さらなる変化を未来に予測すると、人材育成の中で大切なことは、想像力や先見力、洞察力を育成すること、常に学ぶことを学ぶ力を育てることだと言われます。そして、その実践では、失敗を恐れない勇気と十分な努力が大切です。何か大きい組織の中にいて雨風を避けて、守られて生きてゆくことの安心感はかつてほど強くありません。自分の努力と、努力のあり方を工夫する力を身につけることが大切です。

関東学院六浦の教育理念である「人になれ 奉仕せよ」。坂田先生はこの言葉をイエスに依って立てると言っています。そのイエスは、私たちに例え話で語ります。

旅に出るある家の主人が3人の僕たちに、それぞれ一定の金額のお金を預けていく喩え話を何度も聞いてきたでしょう。二人の僕はそれを元手に商売をし、それぞれ倍にして主人に返します。褒められてお金をさらに託された。一方、もう一人の僕は土の中にしまっておいて返した。すると主人は、自分で増やさないのなら、なぜ銀行に預けなかったのかと「怠け」を厳しく叱り飛ばすという物語でした。

皆さんには、それぞれ与えられた賜物、天賦の力があります。社会はとてつもない速さと規模で大きく変化していきますが、皆さんは決して手を緩めず、頑張ってほしいと思います。関東学院六浦で得た確信と自信をもって、しっかりと歩みだしてほしい、そして、その歩みが、隣人との平和を生み出し、たとえ、ささやかなことであっても社会の平安に貢献し、人類の平和への寄与へと繋がっていってほしいと強く願います。

進学する先では真剣に勉強してください。常に、先見の力を持つうように心がけ、課題を自ら発見し、学び続ける力、新しい学び方を学ぶ力をつけるように心がけてください。その時に持つ力を次の力へとつないでゆく。学び続ける力、新しい学び方を学ぶ力をしっかりと育てる。そして、自分の力を実践する意思疎通の力、つまり言葉の力を身に付ける。第一言語である母語で正確に思いを伝える力を一層磨き、そして、グローバル化とボーダーレス化が進む社会で力を発揮するために、英語、中国語、あるいは他のアジア言語などの語学の習得にも惜しみなく力を注いでください。

進化論を唱えたダーウィンは言っています。
It is not the strongest of the species that survives,
 nor the most intelligent that survives.
It is the one that is the most adaptable to change.

生き残る種とは、最も強い種ではない。また、最も知的な種が生き残るのでもない。生き残るものは、変化に最もよく適応したものである。

間にとって適応する力とは、学び続ける力であると同時に、新しい学び方を学ぶ力に他なりません。坂田祐先生が、「実行や実現が極めて難しくても、理想に向って進み、たゆまず努力をすること自体に価値がある」と語られたように、たゆまず努力を重ね、理想に向って進んでください。

しかし、疲れ、気持ちが折れることもあるでしょう。絶望を感じることもあるでしょう。その時は、勇気をもって休んでください。それは、「自分を愛するように隣人を愛せよ」と語る神が、「わたしは決してあなたから離れず、決してあなたを置き去りにはしない」と、愛をもって語りかけてくれているからです。あなたは、神に愛された存在であることを忘れず、与えられた命を大切に、しっかりと歩んでください。

最後になりましたが、保護者の皆様、お子様の成長を精一杯心豊かに支えてくださり、また、本校の教育にいつも支援を賜りましたことに心から感謝を申し上げます。

同時に、教職員一同、ご家族の皆様に神様の祝福がありますように、とお祈り申し上げます。
2016年3月1日 関東学院六浦高等学校 校長 黒畑勝男