受験生の皆さんへ/to Student

東日本大震災から4年を経て

 東日本大震災における死者・行方不明者は、余震での犠牲者を含めて1万9000人近くと聞きます。津波による被害のなかった阪神・淡路大震災での死者6500人に比べ、3倍近くの犠牲者数でした。映像などで感覚的には分かっても思い描けない甚大さと悲惨さ。その傷跡はそれゆえ深く、4年が経過してなお大きく悲しみを覚えます。

 20年前の1995年阪神・淡路大震災の時、かなり無理を言って学校から有給休暇をもらい、ヘルメットや寝袋を持って、神戸三宮にセンターを構えていたボランティア活動に一人参加しました。その時、脳裏に刻み込まれたトラウマと逃れられない思いがあり、4年前の地震災害救援では動くことができませんでした。そして今、また別の大きな難しい問題で心が痛むのを覚えます。

 大きな問題の一つは、被災した方々の家屋の確保が追いつかず、各地の仮設住宅での居住が長くなっているという現実です。見通しがつかなく人生の目標も定まらない状態が続くことは、本当に辛く苦しいでしょう。そして別の大きな問題は、被災によって家族が経済的に困窮し、心安らぐはずの家庭そのものが崩壊してしまうこと。また、家族離散や離散とまでいかないまでも、落ち着いて暮らす場がなくなり、働く場もないという若い女性が多くいる現実です。その若い女性の多くは、高校卒業後、経済的に他の進路をあきらめざるを得ない女性です。男女雇用機会均等法はあっても、働こうとするときにその地域での求人が必ずしも女性に適するというものではない現実の社会。自分の人生に見通しを立てることがとても難しい現実の生活。この人たちに私たちができることは、一体何なのか。胸が本当に痛くなります。

 私たち関東学院六浦中高は、震災以来、東北に対する支援のボランティア活動を続けてきています。今年も続けます。かかわりの中で私たちが心の深くに学び得る大きなものの一つは、「隣人を自分のように愛する」ことの根源的な難しさ、それを知ることだと思います。難しいけれども諦めてはいけないし、開き直ってもいけない。自分のことのように愛することの難しさを知るからこそ、なお、進もうとする意欲を自分の中に芽生えさせること、そして実践しようとすること。この気持ちと実践への意欲を持つことこそが、被災しなかった私たちの、震災後に生きる私たちの務めだと思います。思いをもって4年目を考えます。

                                校長 黒畑 勝男