受験生の皆さんへ/to Student

年頭挨拶

 
 

新しい年を迎え皆様のご健勝をお祈り申し上げます
 昨年10月、私どもはみなとみらいホールで創立60周年記念式典を執り行いました。
 今までの60年の歩みを振るかえる時、その時々に応じた神さまの豊かな見守りと、数え切れない人々の支えがあったことを思います。そのことに感謝し、次の10年に向けて私たちに課せられた多くの課題を検証しながら進んでいく決意を新たにしています。

 児童文学作家の丘修三さんが、「橋のない川」の著者である住井すゑさんと生前話をする機会があったそうです。住井さんは「私は子育てという言葉が嫌いです。子供は育てるものではなく、育つものなのです。大人ができる仕事は、子供たちの成長の芽を摘まないように気をつけることぐらいです」と話したそうですが、丘さんはそれを聞いて、孟子の「助長」という寓話を思い出したそうです。国語の教科書にも載っている話ですから、皆さんも知っていると思いますが、宋の国の農民が早く収穫したくて、出てきた芽を「伸びろ伸びろ」と引っ張っていたら枯らしてしまい、元も子も失ったという話です。成長を助けるつもりが、逆に成長を阻害してしまったという話です。子供の成長にかかわる時、私達は熱心であればあるほど「伸びろ伸びろ」と芽を引っ張るようなことをやってしまいます。子供の内部には成長する力があり、それを信じてじっと待つことが大切なのです。「子育て」ではなく「子育ち」なのだという住井さんの言葉はそれを端的に表現しているのです。

 人は生まれながらにしてこの世の中で果たすべき使命がすべての者に与えられています。聖書の中にも「神の国は次のようなものである。人が土に種を蒔いて、夜昼、寝起きしているうちに、種は芽を出して成長するが、どうしてそうなるのか、その人は知らない。土はひとりでに実を結ばせるのであり、まず茎、次に穂、そしてその穂には豊かな実ができる」とあります。それと同じように、子供たちにはすべて、ありとあらゆる可能性があるのです。神さまが一人ひとりに与えている賜物なのです。それをどのように開花させていくか、それが私たちに与えられた使命であると考えています。
 丘さんは子供を育てるのは植物を育てるのによく似ていると言います。草花や野菜を育てる能力は教師の一つの資質につながっています。適切な時期に適量の水や肥料を与え、太陽の恵みを与えてやる。どれもが適切な時期と分量があり、多すぎても少なすぎても枯れてしまいます。子供たちの内部に存在する育ちの芽を信じて、未来に希望を持って育つように励まし、見守ることが大切であると考えます。

 今年も私たちは生徒一人ひとりの個性を大切にし、知恵と力を育んでいきます。本年もよろしくお願いいたします。


2014年1月1日
関東学院六浦中学校・高等学校
校長 河合 輝一郎